外国人観光客に何が売れる? インバウンド客をつかむワザ

専用商品を仕掛ける動きも

イオンの大塚氏は、「紙おむつ、靴の『オニツカタイガー』、チョコレート菓子の『ブラックサンダー』なども売れたが、一時的なブームに終わっている。今後はブームを待つだけでなく、外国人観光客向けの商品を仕掛けていきたい」と話す。

こうした動きは、すでに一部にある。三越銀座店はレナウンと組み、中国人に人気の紳士服ブランド「ダーバン」の中国人向けスーツを開発した。日本の消費者は体形をすっきりと見せるデザインを好むが、中国ではかっぷくの良さは富の象徴だという。そこで、「ウエスト回りをゆったりさせ、中国人に多いいかり肩にも対応したスーツを開発したところ大変な人気になった」(三越銀座店)。ビックカメラでも、中国人の土産の定番であるステンレスボトルに、メーカーと共同開発したイエローなどの独自モデルを用意している。

外国人観光客の買い物の大きな特徴は、目的買いだ。限られた滞在時間で、できるだけ早く目的の商品を見つけることを最も重視する。商品パッケージや自分たちでスマホに用意した写真と、店内に並ぶ商品を見比べながら買い物をして回るのが定番スタイルだ。「ショッピングを楽しむ」というよりも、「商品を探す」というほうがしっくりくる。それだけに、目的の商品がなければ、類似品を買うことはなく帰ってしまうことも多いという。

だが今後リピーターが増えれば、ショッピングを楽しむことを目的に訪日する外国人も増えてくることが予想される。外国人のニーズに合った品ぞろえや売り場展開といった「提案型」のアプローチは不可欠になるだろう。政府は2020年までに、13年の2倍に当たる年間2000万人の外国人観光客を誘致する目標を掲げている。「ショッピングツーリズム大国」に向けて、流通・小売業界の取り組みが今まで以上に過熱しそうだ。

【家電量販店】ホテルへの配送や無料通信で呼び込む
 ビックカメラは全37店舗で免税に対応。購入した商品を最短30分で周辺のホテルに無料配送するサービスや、無料の公衆無線LANが外国人に好評だ。売れ筋は炊飯器とカメラを中心に、美顔器や眼鏡などで、いずれも高級品が人気。免税対象の拡大により、14年10月の売り上げは前年同月比で3倍近かったという。
日経トレンディ

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